日記特別編その6

2003年夏の旅から1


 2003年8月26日

 いつもならデンマークからの帰りにドイツによるのだが、今回だけは終わりの日程がデンマークの公式行事なので、先にドイツによっていく。親友アミンのところにより、二人でエッセン市郊外のランゲンベルク(Langenberg)に行く。行政区分ではVelbertに属するが、留学中いつもブッパタール大学へ行くときの列車で通り過ぎていた町だ。ここに下宿して大学に通うといい感じだな〜と思ったことがある。あのとき、ギゼラと二人でハイキングをして以来の訪問になる。

 前はギゼラと牧草地の丘に登ったので街の記憶が薄いが、今回は街を歩いてみて、古い建物が残るおちついたたたずまいに感心した。市の中心部から離れていたため空襲を免れたので、昔の街並みが残っている。

 

 8月27日-30日

 いつもはオランダやベルギーにいくことが多いが、今回は久々ドイツを旅することにした。留学時代は壁があり、ビザを取るのがたいへんだったので途中であきらめたワイマール(Weimar)とイエナ(Jena)、それにドレスデン(Dresden)である。ワイマールとイエナはドイツ文化の黄金時代の場所であり、ドイツ文学や哲学を学んだ者にとっては誰もが一度は訪ねたいと思うところだろう。ドレスデンは国立絵画館にラファエロやフェルメールの絵があるので、それを見ようと思った。ヨーロッパの旅の一つの魅力は美術館巡りにある。

 ワイマールでは最初にシラーハウスにいった。シラーについての論文を書いた身としては、やはり敬意を表さねばなるまい。翌日いったゲーテハウスと比べ質素であるとはどの観光ガイドにも書いていることだが、たしかにそうだった。その後は国民劇場前の二人の銅像を見たり、ゲーテ・シラー・アルヒーフ、バウハウス・ミュージアムに寄ったりして、観光を楽しんだ。それはそれでよいとしても、こうした施設を管理するStiftung Weimarer Klassikの窓口の職員の対応が愛想がなく、いまひとつだった。昔、東ベルリンでワイマールへ行こうと思い、ビザをとろうとしたときの旧東ドイツ職員のあまりの横柄さに腹が立ってやめた経験をもつが、それを思い出した。これはドレスデンでも似たような感じだった。

 一人で歩き回るとかなり疲れる。カフェで休憩をとっても同じだ。これがほかの人と一緒ならそれほど感じないのだが。結局はこういう観光地は横になって休む場所がないから疲れもたまるのだろう。それでゲーテ公園に行って、芝生の上でしばらく横になった。天気もよく、やっと気持ちが晴れた気がした。

WeimarのMarkt広場

シラーハウス

国民劇場の前のゲーテ・シラー像

ゲーテ公園

 翌日ワイマールからイエナに寄る。ここはとくに観光地ではないが、哲学を学んだものにとっては、フィヒテ、シラー、シェリング、ヘーゲルらが教鞭をとったイエナ大学は特別な感情をそそるのである。その時代の建物が一部残っているので、そこを訪ねた。街は近代的であまり情趣もなく、ワイマールの方がはるかに落ち着きのあるいい街とわかるが、ともあれフィヒテ研究をした者にとっては、若干の感慨はある。

旧イエナ大学の建物

 ドレスデンでは、市内観光のバスに乗った。観光案内所の人が感じがよく、また市内観光バスのチケット売りの女性も愛想がよかったので、個人的にはワイマールよりは人の親切な町かなという印象を得た。市内をバスで観光して、その後国立絵画館へ行く。売り物のラファエロはもちろんよかったけれど、やはりフェルメールの初期の傑作「窓辺で手紙を読む女」が魅力的だった。圧倒的な名画の多さにへきえきしながらも、この絵の前に立つと一服の清涼剤を得たかのように疲れもとれて、さわやかな気持ちになってじっくり見れるのだ。

市役所と聖十字架教会

ゼンパーオペラ劇場

ツヴィンガー宮殿(国立絵画館)

「窓辺で手紙を読む女」

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